「末端冷え症」は、女性に多い悩みのひとつです。
最近では、成人女性の半数以上は冷え症で悩んでいるとも言われています。
そして、そんな末端冷え性に効果的であると近年、話題となっているのが「漢方」です。
では、なぜ漢方が末端冷え症改善に効果があるのでしょうか?
本記事では、その秘密を探ります。
目次
1.末端冷え症(冷え性)とは?
よく、普段、雑誌やメディアなどで耳にすることの多い末端冷え性。
末端冷え性とは、具体的にどの様な症状を指すか、明確にはわからないという方も多いかもしれません。
また、末端冷え性と漢方は何故、相性が良いと言われているのでしょうか。
順を追って、解説していきます。
1-1.末端冷え症とは
末端冷え性とは、その名の通り、いわゆる冷え性の中でも、特に手足の先など体の中心から離れた部分が冷えると訴える場合が多いものを指します。
お腹が冷えたりする症状ではなく、手足だけが冷え込むことも多いため、冷え性ではないという認識を持たれる方も多いかもしれません。
1-2.なぜ冷え症改善に効果があるの?
そんな、末端冷え性ですが、実は近年、
漢方薬によって長年悩まれていた方も改善した、という事例が多く見られています。
そもそも、何故、末端冷え性の治療の際に漢方薬の名前が挙がってくるのでしょうか。
分かりやすく、西洋医学と比較してみましょう。
西洋医学が臓器別に悪い部分だけにターゲットを絞って治療するのに対し、
実は、漢方薬は体全体を整え,自然治癒力を高めることを基本にしています。
そのため,病気とは認識されにくい「末端冷え症」などの治療は、漢方薬の得意分野なのです。
2.そもそも漢方とは何か?
漢方薬とは,自然界にある植物を中心に、動物由来のものや、鉱物などを原料にした複数の生薬を組み合わせて作られた薬です。
古くから,生薬を細かく刻んで混ぜたものを煎じて飲むという形がありますが、現在処方される漢方薬は煎じた液を濃縮,乾燥をさせ,顆粒にした飲みやすく加工されたものが多いです。
2-1.女性のための漢方とは?
前の項目で触れた様に、西洋医学は臓器別に悪い部分だけにターゲットを絞って治療していきます。
それに対し、漢方医学は体全体を整え、自然治癒力を高めることを基本にしています。
西洋医学では同じ病名なら同じ薬や治療が行われますが、漢方医学ではひとりひとりの体質や症状を診断して漢方薬を処方します。
そのため、例えば女性ならではの悩みである、月経に伴って起こる不調や、
アレルギーなどの体質的なもの、メンタルや皮膚の症状など、ひとりひとりにあった薬を処方されます。
2-2.漢方薬の基礎知識
漢方では体質を見るための漢方薬オリジナルの”ものさし”があります。
その”ものさし”が、「証」と「気・血・水」です。
「証」とは、体質や体力、病気に対する抵抗力を表し、大きく以下の3つに分けられます。
2-2-1.「虚証」
体力がなく痩せ型、または水太りの方が多いです。
筋肉が弱く、顔が青白くハリがないなどの特徴があります。
また、胃腸が弱くなっているため下痢をしやすく、寒がりな傾向もあります。
2-2-2.「実証」
体力があり、ガッチリしていて筋肉質な方が多いです。
顔色が良くツヤがあり声が大きいなどの特徴があります。
「実証」の方は胃腸が強い分、便秘気味で暑がりの傾向もあるようです。
2-2-3.「中間証」
「虚証」と「実証」の中間のタイプの方です。
「気・血・水」とは、漢方医学の世界では、気と血と水の3因子で体の要素が出来ていると考えられています。
「気」は気持ち、気力、元気などの気です。
「血」は全身を巡って栄養を与える血液のことです。
そして、「水」は血液以外の体液のことです。
漢方薬は病態だけでなく、体質を重んじて処方されます。
そのため、その人の冷えの症状に合わせることができ、これまでいろいろ試したけれど改善されなかった方にとっても、効果が現れる可能性があります。
3.末端冷え症に効く漢方薬
ここでは主に末端冷え性に効果的な漢方薬を紹介します。
3-1.足冷えが強く,下腹部痛などがある場合
「当帰四逆可呉茱萸生姜湯 (とうきしぎゃくかごしゅゆしょうぎょうとう)」
主に冷え性・しもやけ・頭痛・下腹部痛・腰痛に効果的といわれています。
この漢方は主に体を暖め、熱を作るのを手助けしてくれる用途があります。
体を温まれば血行が良くなり、体の内部からの冷えの改善にもなります。
3-2.のぼせて足冷えのある,肩こりなどがある場合
「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」
主に血液循環不良を改善する効果のある漢方薬です。
骨盤内・下腹部の血行循環不良、生理痛や慢性の月経不順など に効果的といわれています。
3-3.どうやって手に入れるの?
漢方薬の入手方法ですが、主に病院で処方してもらうか、薬局での購入になります。
しかし、漢方薬も薬です。
漢方薬には副作用がないと思われる方もいるかもしれませんが、
体質やタイプなどに合わない場合や,大量に使いすぎたり、組み合わせが合わなかったりすると、様々な症状が起こる場合があります。
必ず、医師や薬剤師の方に相談して、処方してもらう様にしましょう。
4.まとめ
漢方薬は自然由来のものを使った薬です。
末端冷え性で悩んでいるけど、強い薬ではなく自然のもので治したい方などにオススメです。
また、末端冷え性だけでなく、生理不順や冷えから来る腰痛や、ホルモンバランスの乱れなどにも効果的です。
さらに、嬉しいことに、医師から処方される医療用漢方製剤は健康保険が適用されます。
長年冷えに悩まされて辛い!という方は、ぜひ一度、医師の方に相談してみて、気軽に始めてみてはいかがでしょうか?