目次
1,末端冷え性とは?
皆さんは最近、「温活」と言う言葉を耳にしたことはありませんでしょうか。
身体を日頃から温めることで、冷えを改善しようとするこの「温活」。
最近では重ね履きをして、冷えを防ぐ「冷えとり靴下」と言ったグッズもよくメディアで取り上げられるようになりました。
夏なのに分厚いソックスを履いて、お出かけの時にはひざ掛けや薄手の上着を必ず持参するなど、冬場だけではなく、身体の「冷え」、特に手の先や足先が冷えるという「末端冷え性」に悩む方が急増しています。
1-1. 末端冷え性の症状と特徴
特に女性に悩む人が多い、この末端冷え性。
末端冷え性とは、身体全体は冷えていないものの、手先や足先といった身体の末端部分だけが冷えてしまう症状のことを言います。
女性に多い症状で、酷い方は手先や足先が冷えすぎて、眠りにつけなくなったり、夜中に自分の足先の冷たさで起きてしまい、十分な睡眠時間を取れず体調を崩してしまったりすることも多いそうです。
また、スマホ操作やパソコンの操作ができなくなったりと、日常生活にも支障が出てしまう方もいらっしゃいます。
末端冷え性になると、手先や足先、腰や背中、首や背肩といった末端部分のみの冷えだけでなく、肩こりや腰痛、頭痛、貧血や動悸、めまい、肌荒れや生理不順(月経不順)、免疫力の低下といった症状が引き起こされることもあります。
1-2.末端冷え性と冷え性の違いについて
では、いわゆる「末端冷え性」と「冷え性」との間に違いはあるのでしょうか。
簡単に言うと、手足の指先だけが冷えている症状を「末端冷え性」、全身や体内が冷えている症状を「冷え性」ということが多いです。
一括りに「冷え性」と認識しているケースも多いのですが、冷えの原因は様々で、病気のサインである症状を見逃してしまう可能性があります。
では更に詳しく、末端冷え性について解説していきます。
人間の内臓の理想的な温度は37.2℃~38℃と言われ、その温度を保つための平均体温は36.5℃くらい必要だと言われています。平均体温が36.5℃と言われるのはこのためです。
通常、人の体内は、張り巡らされた血管内を血液が絶えず循環するため、手足の先であってもこの温度から著しく下がらないようになっています。
それが何らかの原因で血流が悪くなると、手足の先の体温が下がり、冷たく感じるようになってしまうのです。
特に末端冷え性の方の中には、「私は手足が冷えるだけだから、 冷え性ではない」 と思われている方も多くいらっしゃいますが、上半身と手足の先の温度の差が5℃以上あり、冷えを感じる場合は、末端冷え性なのです。
2, 痩せ型男性も注意?末端冷え性の3つのタイプについて
実は、冷え性は大きく分けて3タイプに分類されます。
2-1.四肢末端型冷え性
いわゆる末端冷え性のことで、主に手足の末端が冷えるタイプの症状を言います。
特徴としては、主に10~40代の女性に多く、手足の先まで血流が悪くなり、熱をうまく作れない、もしくは運べない症状を指します。
四肢末端型冷え性の人は、ダイエットをしていたり、運動不足であったりという原因が多くみられます。
2-2.下半身型冷え性
主に、足先から腰の下半身、太ももなどが冷えるタイプです。
更年期の女性だけでなく、中高年男性にも多いのが特徴です。
手は暖かい、もしくは顔は火照っているのに、腰から下の下半身だけが冷えている人はこのタイプといえます。
2-3.内臓型冷え性
体の内側からぞくぞくと寒気を感じ、冷えているタイプです。
特徴としては、寒くないのにお腹を触ると冷えていたり、ちょっとした風にあたるだけで極端な寒気を感じることもあり、年齢を問わず、感じる冷え性です。
慢性的に体温が36.3℃を下回るような方はこの冷え性の可能性があります。
また、このタイプの場合、無駄に汗をかきやすく、熱が逃げてしまうため、冷えを感じるようになります。
このように、冷えている場所が違うだけでなく、冷える原因も違いがあるため、その原因を改善しないと辛い冷えもうまくとれないのです。
3,臓器の不調のシグナルかも?末端冷え性のタイプ別の原因
末端冷え性は、ただ冷えて困るというだけではありません。
中には、冷えのせいで夜中に目が覚めて寝られなくなり不眠症や睡眠障害を訴える方もいます。
では何故、末端冷え性になってしまうのでしょうか。
ここでは症状のタイプ別に原因を紹介します。
3-1, 四肢末端型冷え性の原因
四肢末端型冷え性の原因は大きく分けて、2つあります。
一つは自律神経の乱れです。
通常、私たちの身体は、外の気温がどうであれ、体温は一定になるようになっています。
暑い夏には汗を出して、身体から熱を出しますし、寒くなるとなるべく身体から熱を外に出さないようにして、体温を保とうとします。
寒い時にブルブル体がふるえるのも、振動によって熱を起こしているからなのです。
熱の出入り口である血管を、縮めたり広げたりして調節しているのは、自律神経です。
自律神経がきちんと働かなくなってしまうと、「気温が下がると身体も冷える。」なんてことに、なってしまいます。
これが、四肢末端型冷え性になる原因の一つです。
またもう一つが必要な栄養素の不足です。
若い女性に多い過度なダイエットで、食事の量を制限すると、体の熱を作り出すカロリーの摂取量が不足します。
そうすると、慢性的な低体温に陥り、冷え性になってしまうため、まず熱を作り、熱を体中に運ぶ機能を上げなければいけません。
また、筋肉は血流を促進するポンプの役割をしていますが、運動不足で筋力が低下すると、血流が循環しにくくなります。
よく冷え性で悩む方の体型を思い出してみてください。
痩せてはいるけど筋肉がない、男女問わずそんな人が多いのではないでしょうか。
筋肉をつけることで、末端にまで血液を行きわたらせることができるようになります。
3-2, 下半身型冷え性の原因
下半身に熱が運べなくなってしまう下半身型冷え性ですが、一番の原因は、加齢です。
この冷え症になる原因は、お尻にある筋肉「梨状筋」が硬くなることで、坐骨神経がダメージを受けることにもあります。
後方や前方に必要以上に傾く姿勢は要注意です。
ウォーキングなどの軽い運動や足指の運動、ふくらはぎのマッサージをすることで、血液の循環を促進することが大切です。
3-3, 内蔵型冷え性の原因
内蔵型冷え性の一番の原因は、筋肉量の不足と自律神経の乱れです。
四肢型末端冷え性と同様に、筋肉の量が不足すると、血液を全身に送り届けたり、手足から内臓へ戻してあげるポンプの働きが弱まったりするため、血流が悪くなり、手足へ送り届ける以前に内臓部分も冷え込んでしまいます。
また、内蔵型冷え性の原因にも四肢末端冷え性と同じく、自律神経の乱れがあります。
自律神経には、寒い時には血管を細く、暑い時には血管を広げるなどして体温調節行う機能があります。
しかしこの自律神経が正常に働かなくなった場合、寒い時でも血管を広げたままとなり冷えた血液が多く流れ、内蔵を冷やしてしまうのです。
現代人は自律神経が乱れやすいと言われています。会社内での人間関係や悩みによる精神的ストレス、働きすぎによる過労などの身体的ストレス、睡眠不足や不規則な食生活はすべて自律神経と繋がっています。
これらの負荷がかかればかかるほど自律神経が乱れ、内蔵冷え性を引き起こすのです。
その他にも、原因として、栄養不足や、冷たい食べ物や飲み物の過剰摂取も挙げられます。
内臓型冷え性の人の改善法は、体の芯から温めることです。
冷たいものをとり過ぎないようにしたり、お風呂でゆっくりと半身浴をしたりするなど、体の芯を温めるようにしましょう。
生姜やれんこんなどの根菜類も体を温める食べ物として有名なので、意識的に摂取をするようにしましょう。
また、ウォーキングなどの軽い運動で汗をかき、代謝のよい体づくりをすることもポイントです。
4,末端冷え性に気づいたら
もし、冷え性に悩まされている、もしくは冷え性ではないかと気づいたら、どのような対処が必要でしょうか。
これまでに述べてきた原因を防ぐために、日頃から運動をしたり、食生活に気をつけるといった生活週間の改善は、年代問わず重要です。
特に、内蔵冷え性は隠れ冷え性と言われるほど自覚症状が少なく発見しづらいため、気づいた時には悪化して体のあちこちに影響を及ぼしてしまいます。
そうならないためにも早め早めの対処法が必須となってくるのです。
しかし、普段から気をつけていても、様々な事情から対策し切れない、冷え性になってしまった場合はどうすればよいでしょうか。
一番簡単な特効薬として、医療機関に処方してもらう「漢方」による改善法があります。市販のサプリメントとは違い、冷えの部位や症状に合わせて、処方してもらうため、手軽な改善が期待できます。
また、実はこれまでにあげた「冷え性」以外にも、下肢の病気による、末梢血管障害、運動・知覚障害による「冷え」の可能性もあります。
こういった場合は、病院にて原因や対策を相談し、いわゆる冷え性であれば症状に合わせて適切な漢方薬を処方してもらうべきですし、下肢の病気であればその病気に応じた治療を速やかに受けるべきです。
「こんなことで病院へ?」と疑問に思う必要は全くありません。
症状が悪化し、辛くなってしまう前に、まずは下肢の病気の診断ができ、こう言った漢方を処方してくれる病院で受診をしましょう。
特に内蔵型冷え性には血管や循環器の専門医がいる医療機関で診察を受けてみてください。
5.まとめ
いかがでしたか。
全ての冷え性の症状に言えることですが、冷えは放っておくと健康に様々な影響を与えてしまいます。
末端型冷え性を改善・対策するための方法は、何と言っても、血液の流れをよくすることです。
上にあげたような対応策の前に、皆さんはついつい、キツイ靴や下着を履いて血液の流れを妨げていませんか。
血液の流れを悪くしていることが他にもないか、チェックしてみましょう。
冷え性が解消されると、安眠できるようになったり、更に精神的にも楽になったりするため、すっきりとした毎日を送れるようになります。
一度生活を見直し、自分の冷えのタイプと向き合うことで快適な毎日を過ごせるようにしましょう。