最悪の場合、死に至ることもあるエコノミークラス症候群は誰にでも起こりうる可能性がある病気ですのでご注意が必要です。
もし旅行の出先などで病気にかかってしまったら、楽しいはずの旅行も台無しになってしまいます。
そうならないためにもエコノミークラス症候群について詳しく知っておくことが大切です。
目次
1, エコノミークラス症候群とは?
エコノミークラス症候群(急性肺血栓塞栓症)とは、飛行機のエコノミークラスなど、狭い空間に同じ体制で長時間過ごした時に生じやすいことから、このように呼ばれています。
またバスや乗用車なども同様で、他にもデスクワークをしていても起こりえます。
災害の避難所や避難の為車中泊を行っていた方もエコノミークラス症候群を発症しています。
体を長時間動かさないでいると、下腿などの細い静脈の中で、血のかたまり(血栓)ができ、それが移動して肺の血管に詰まって肺塞栓症を起こしてしまいます。
2, エコノミークラス症候群が起こる原因
エコノミークラス症候群の原因として、飛行機など長時間身動きがとりづらい状況において同じ姿勢を続けることにより、膝の裏にある静脈の血行が悪くなり、静脈の中に血のかたまり(静脈血栓)ができ、その血栓が血液の流れに乗って肺へと繋がる細い動脈に詰まってしまいます。
それが原因となり危険な症状を引き起こし、最悪の場合に死に至る可能性もある病気です。
また、飛行機は通常上空1万メートルを飛行するため湿度が15%以下となり、脱水症状を引き起こしやすい環境となり、こまめに水分を補給しないと血液がドロドロになり、静脈で血のかたまりが生じやすくなる原因となります。
水分補給が十分に摂れていないことも、エコノミークラス症候群の発症原因とも考えられます。
3, エコノミークラス症候群の初期症状
- 足の痺れ
- ふくらはぎや太ももなど足のむくみ
- 足の痛み
エコノミークラス症候群の初期症状としては片足の痺れ、むくみ、そして軽い痛みが伴う場合は初期症状と捉えて良いと思います。
このような症状の場合は、まだ血栓は出来ていない状態であるが血流が悪くなっている可能性があります。
日常生活で座ったままでいると足がしびれるということはありませんか?
実はこれは血流が悪くなったことで起きています。
3-1, 初期症状の対処方法
足の血管を圧迫する状態でなくなれば、血流が改善されますので同じ体勢を続け症状が出た場合は足を動かしたり、体勢を変えましょう。
初期症状のしびれや痛みは体勢を変えることで徐々になくなりますので、症状がいつまでも残ることがあれば、医師の診断を受けることをお勧めします。
4, エコノミークラス症候群の危険な症状
- 呼吸困難になる
- 胸の痛み
- 血圧低下引き起こす
- 失神する
- 死亡する
上記のように多くの危険な症状は、下腿にできた血栓が何らかの要因で剥がれて、心臓や肺の動脈を詰まらせることにより起こります。
急に息苦しくなったり、胸を押さえつけられるような痛みを感じる事や普段は感じない動悸や息切れ、酷い場合はショックで失神する場合もあります。
このような症状がすぐに現れる人もいれば、1~3週間後に発生することもあります。こういったタイムラグが発生する理由は、血栓が発生したのち体を動かすことにより
血流に乗って、肺へと繋がる動脈に詰まるまでに時間がかかるからです。
4-1, 危険な状態での対処方法
一刻も早く病院で医師の診断を受けましょう。
このような状態で自然治癒はありませんので、必ず医師の診断と治療を受けましょう。エコノミークラス症候群は血管内の病気なので、心臓血管外科、循環器内科のある病院で診察になります。
エコノミークラス症候群だと診断された場合、よほどひどい場合を除いては薬で血栓を溶かすという治療を行います。
5, エコノミークラス症候群の治療法
エコノミークラス症候群の治療法としては、肺動脈に詰まった血栓を取り除いて肺の血液の流れを回復させることが目的となりますので、血栓の大きさや状態に応じた治療方法が実施されます。
5-1, 抗凝固療法
比較的軽症である場合には、血栓がこれ以上できないようにする薬を服用し数週間~数カ月の経過を見ていく治療方法です。
5-2, 血栓溶解療法
血栓が広範囲に及んでいる場合には、詰まった血栓を溶かす作用の持った薬を投与する治療方法です。
5-3, カテーテル治療、肺動脈血栓摘除術
心臓が停止した状態や症状が極めて重く内科治療を行う余裕も無い場合には、直接血栓を取り除く治療を行います。
6, エコノミークラス症候群の予防法
最悪の場合命を落とす危険もあるエコノミークラス症候群ですが、意外と簡単に予防ができますので、誰でもできる予防方法について紹介させていただきます。
6-1, 水分補給
水分をこまめに摂取することは血栓が発生するのを予防するうえで大切です。
水分摂取の目安は1時間ごとに小さいコップ1杯なので、喉が渇いていなくても定期的に飲み物を飲むようにしましょう!飛行機など長時間の旅行中は水分補給を適度に行うことに加え、脱水を招くアルコールやコーヒーを控えるようにしましょう。
6-2, 適度な運動
長時間座っている場合は、数時間に一度はトイレの場所まで歩いたり、座席から立ち上がるなど適度な運動を心掛けましょう。
トイレに行く際に隣の乗客にその都度気を使うからといって、水分補給を控えがちになるという方もいらっしゃいますが、そういった方は発症リスクが高まりますので注意が必要です。
もし座席から立ち上がることが難しい場合は、座ったままでかかとの上げ下げを1~2時間ごとに行いましょう。少しでも足を動かすことが大切です。
6-3, 弾性ストッキングを着用する
災害時の避難場所など体を動かすことが特に困難な場所では、弾性ストッキングの着用をお勧めします。
むくみ防止の為に着用されている方も多いかと思いますが、弾性ストッキングは足の静脈をスムーズにするよう圧力をかける構造になっています。
医療用弾性ストッキング 「JETLEGS ®」は一般医療機器として認定を受けている商品で、高い圧迫圧を誇り、段階式着圧で血流やリンパ液の流れをスムーズにしてくれます。コンパクトなので、災害用の備蓄品としても旅行や移動時にもっていくのもおすすめです。
7, まとめ
足がしびれることもエコノミークラス症候群というのは驚きですね。
大きい血栓に比べ小さい血栓の場合には、症状が出にくいことがあり自覚しにくいとは思いますが、飛行機など長時間同じ体勢でいる際は同じ体勢が続かないように意識しましょう。
そしてこまめな水分補給と適度な運動を心掛け、エコノミークラス症候群を未然に防ぎましょう。