下肢静脈瘤にはいろいろな手術の方法があります。
それぞれに特徴があり、手術内容も費用も術後の後遺症も様々です。
今回は後遺症と、手術後の状態について専門クリニック監修の下解説します。
目次
1, 下肢静脈瘤の手術について
下肢静脈瘤は自然治癒することのない病気ですので、症状の進行度合いによって手術が必要な病気です。足の血液が逆流をしたり、滞留したりすることで発生する病気のため、その問題が発生している静脈を抜き取ったり、塞いだり、固めたりすることでその血管に血液が流れないようにし、血液が他の健全な静脈を流れるため症状が改善します。
症状の発生場所や、進行のステージによっても手術方法は異なりますが、今回は「ストリッピング手術」「血管内焼灼術」「スーパーグルー治療」の3つを例に取って解説をします。
2, ストリッピング手術
まず初めにストリッピング手術です。ストリッピング手術とは、逆流が発生している静脈を抜き取る手術方法です。静脈付近にワイヤーを通し、糸と静脈をつなぎ引き抜くという手術内容ですが、十分な量の局所麻酔、または全身麻酔が必要になり、数日の入院が必要となるケースも多く見られます。
2-1, ストリッピング手術の術後
ストリッピング手術には十分な量の麻酔が必要なため、過去のやり方では数日の入院が必須でした。現代のストリッピング手術においては、日帰りで仕事も翌日から復帰できるようになっているものが多いです。一方で、足にワイヤーを通すという手術のため、切り傷が目立つことが特徴でもあります。
2-1-1, 後遺症例
ストリッピング手術の後遺症としては、皮下出血や、痺れが残ることが挙げられます。
この画像はストリッピング手術後に皮下出血をし、大きな青あざができてしまっている画像です。皮膚を切り、ワイヤーを通し、血管を引き抜く、という手術工程のため、どうしても皮下出血のリスクが残ります。
3, 血管内焼灼術
次は血管内焼灼術です。血管内焼灼術とは血液の逆流が起きている静脈を熱の力で焼き潰す手術方法です。大きく分けるとレーザーの熱を使う方法と、ラジオ波の熱を使う方法の2種類です。血管を抜き取るのではなく、熱を使って潰すため、レーザーの管を通す針を刺すだけのため傷もあまり目立ちません。
3-1, 血管内焼灼術の術後
血管内焼灼術で使われるレーザーには様々なものがあります。
保険の適用有無や後遺症の発生リスクなど種類によって大きな違いがあります。保険適用可の従来型レーザーの場合には、皮下出血のリスクも上昇します。
こちらもストリッピング手術を同じく、十分な量の麻酔が必要です。
3-1-1, 血管内焼灼術の後遺症
血栓が出来やすくなることが血管内焼灼術の主な後遺症です。
血栓ができるとエコノミークラス症候群を引き起こす可能性もあり、最悪の場合には死にいたる場合もあるため注意が必要です。
こちらの画像は、レーザー治療後に発生した皮下出血の例です。
選ぶレーザーの種類によっては、後遺症が重たくなる場合もありますので、医師の説明をしっかりと聞き、リスクを把握した上で手術を受けるようにしてください。
4, スーパーグルー治療
最後はスーパーグルー治療です。
スーパーグルー治療は下肢静脈瘤の治療方法の中でも最先端と言われています。
血管を抜き取るわけでも、熱で焼くわけでもなく、逆流の起きている血管に瞬間接着剤(グルー)を流し込み固めるという治療方法です。
4-1, スーパーグルー治療の術後
スーパーグルー治療は、治療時間も数分、麻酔もほぼ要らず、皮下出血など重大な後遺症が残る可能性も限りなく0に近いというデータが出ています。
また注射針のようなものを打ち、瞬間接着剤を流し込むだけなので、切り傷ができたりすることもなく、治療後は絆創膏1つでそのまま帰宅ができます。
4-1-1, スーパーグルー治療の後遺症
今の所、大きな後遺症例は見られていないようです。
グルーにアレルギーをお持ちの方は治療を受けられないので、専門機関でのパッチテストをする必要があります。
5, まとめ
今回は、下肢静脈瘤の手術後に発生する後遺症の例についてまとめました。
もちろん、すべてのケースで後遺症が見られているわけではありませんが、正しい知識を持ってリスクを把握することが大切です。あなたにあった手術方法を見つけてくださいね。