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日常にも潜む危機!エコノミークラス症候群の予防をすべき人とは?

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実は日常にも潜む病気、「エコノミークラス症候群」
何よりもまずは予防が大切です。

今回は、特にエコノミークラス症候群にかかりやすい3タイプの人々と効果的な予防方法を紹介します。

目次

1, エコノミークラス症候群とは?

皆さんは、「エコノミークラス症候群」と言う言葉を耳にしたことがありますか?

その呼称から、「飛行機の中だけで起こる病気」という認識をお持ちの方もまだまだいらっしゃいますが、実はその認識は間違いです。

日常生活の中での発症する可能性のあるエコノミークラス症候群。

では、どのような場合に発症する可能性があるのでしょうか?
また、その症状、予防法を詳しく見ていきましょう。

 

1-1, 医学的名称とは?

エコノミークラス症候群は「深部静脈血栓症」または「肺塞栓症」などの症状をまとめた総称で、正式名称は英語で、「DVT(Deep vein thrombosis)」と呼ばれます。

ちなみに、英語圏では一般名称は日本と同じで、わかりやすい病名で、「Economy-Class Syndrome という表記で呼ばれています。

1-2, なぜ注目され始めたか

なぜ再び、「エコノミークラス症候群」が注目され始めたのでしょうか。

実は近年多発している、日本の震災でもこのエコノミークラス症候群が問題となりました。熊本地震では、大規模避難所施設の損壊による避難所不足、度重なる余震の恐怖などから、多くの方が車中泊避難をされました。

その結果、51人が入院を必要とするエコノミークラス症候群を発症し、そのうち5人が重症で、1人が亡くなっています。

残念ながら、日本では災害の度に、多くの方がエコノミークラス症候群にかかる、という事が繰り返されています。

車内で寝泊まりをするなど長時間同じ姿勢でいると、エコノミークラス症候群が発生しやすくなります。

このような不幸を繰り返さないために・・・。

 

「もっと日頃から準備をしておくべきもの」と言う認識から、再び、注目されているエコノミークラス症候群。

ここでしっかりと予防のための知識を身につけ、家族とご自身の万が一に備えましょう。

 

1-3, エコノミークラス症候群の症状

エコノミークラス症候群の初期症状は、大腿から下の脚に発赤、腫脹、痛み等の症状が出現します。このような症状が発生したら、急いで専門の医療機関を受診する必要があります。

足にできた血栓が肺に詰まると、胸痛、呼吸困難、失神等の症状に陥り、大変危険な状態になります。

 

2, エコノミークラス症候群になる原因

 

エコノミークラス症候群の一番の原因は「静脈の異常」で、血液が詰まってしまうことです。

 

動脈から流れてくる血液は、心臓がポンプの役割となり、体中に循環させています。しかし、静脈は歩いたりして起こる筋肉の収縮がポンプの役割となり、血液を循環させています。静脈には血液が逆流したり、腕や足で滞留したりしないように「弁」と呼ばれる蓋のようなものがついています。

長時間同じ姿勢でいると、静脈の循環が遅くなります。

その結果、流れが遅い血液の血清因子が流れの遅い血清を固まりにし、血栓を作ります。

この状態を「深部静脈血栓症」、または「DTV(Deep vein thrombosis)」と呼びます。

この血のかたまり(血栓)の一部が血流にのって肺に流れ、肺の血管を閉塞してしまう危険があります。

この状態を「肺塞栓症」と言い、肺の一部が永久的に損傷する可能性があるため、メディアでも「日頃健康な人に襲いかかる死の危険を伴う病気」として取り上げられました。

ここでは、具体的なシチュエーションを例に原因をまとめさせていただきました。

 

2-1, 妊娠・出産直後

妊娠中・出産直後の方は血管壁を柔らかくするホルモンの影響で、血液の循環が遅くなり、むくみやすくなります。

血管の循環が遅くなった影響で血栓ができやすくなります。

 

2-2, 飛行機や夜行バスなどの長期移動

飛行機内では、長時間同じ姿勢でいることが多くなります。
また、水分不足になると、血液濃度があがり、血液の循環が遅くなることも原因の一つです。 

さらに、具体的なシチュエーションを考えてみましょう。

皆さんは飛行機の座席を選ばれる時、通路側を選ばれますでしょうか?窓際を選ばれますでしょうか?快適なフライトで上空の景色を楽しみたいために、窓際を選ばれる方も多いでしょう。

これは日本人特有かもしれませんが、その際、お手洗いに行く際に通路側の方に気をつかってついつい長時間我慢してしまう、なんてことはありませんか?ゆったりしたビジネスクラスならまだしも、エコノミークラスシートではこういう状況はよくあることですが,我慢をしすぎて、全く動かない時間が長時間続くと大変、危険です。

ぜひ、エコノミークラス症候群の予防を考えるなら、座席選びの際も工夫をしてみましょう。

2-3, 長時間、同じ姿勢でいること

長時間同じ姿勢でいると、筋肉が収縮しないためポンプの役割が鈍くなり、血液の循環が遅くなります。

前章で挙げた飛行機やバスなど以外でも、長時間の立ち仕事・座り仕事も原因になりえます。

 

3, エコノミークラス症候群になりやすい人とは?

では、どのような方がエコノミークラス症候群になりやすいのか見ていきましょう。

 

3-1. デスクワークや立ち仕事

デスクワークや立ち仕事の方は同じ姿勢で何時間も過ごす事が多くなります。
そのため足の筋肉の収縮が少なくなり、血栓ができやすくなります。

マッサージや立ち上がったり、しゃがんだりといった筋肉を動かすようにしましょう。

 

3-2, 妊婦

2-1.に挙げたように、妊婦・出産直後の方は血管壁という壁が柔らかくなっています。
その影響で血液の循環が遅くなり、むくみやすくなったり、血栓ができやすくなったります。

妊娠中の方は、こまめにご自身の足のマッサージなど行うようにしましょう。

 

3-3, 災害の避難時

避難生活中は、運動不足や不安などから極度のストレスがかかってしまいます。

水分補給・車内泊をさける・数時間ごとに歩くなど足を動かす事を意識しましょう。

4, 日頃からできる!エコノミークラス症候群の予防法

実は、機内だけではなく、日常にリスクが潜んでいるのが、このエコノミークラス症候群。では、私たちはどのようにこの病気にかからないように対策をすべきでしょうか?

ぜひ、今日からできる以下の予防法を実践してみましょう。

 

4-1, 運動

やはりエコノミークラス症候群の原因で多いのは同じ姿勢で何時間も過ごすことです。
散歩やストレッチを行い、足に血液がたまらないようにしましょう。

また、ここでは、仕事で運動が難しい、もしくは機内に入る時にできる簡単な足のストレッチをご紹介いたします。

4-1-1, 簡単にできるエコノミークラス症候群予防のストレッチ

①足を上下に爪先立ちにします。

②つま先を上に引き上げます。(ゆっくりとした動作から始めましょう)

③ふくらはぎを軽く揉みます。

このようなストレッチを、お気付きの際に、片足ずつ30回ほど、行ってみてください。
これだけでも十分ストレッチになります。ぜひ長時間のフライトやデスクワークの際には実践をしてみましょう。

 

4-2, 弾性ソックス・ストッキング

弾性ソックスを着用することで足の筋肉のポンプ機能をサポートしてくれる役割があります。市販のものから医療用のものまで種類があるので、自分にあったものを着用することをお勧めいたします。

特に、地震大国として防災への市民の意識が高い日本では、

冒頭に挙げた熊本地震などの影響から、自治体でこの弾性ストッキングを備蓄する市町村も増えてきました。

 

当局のおすすめの防災弾性ソックスはベノサン社が出している、「JET LEGS」です。

災害時以外でも、飛行機の旅行、深夜バスの移動、車での長時間の移動などの際には手軽に試せる防災グッズでもあり、特に、健康に不安を抱えるシルバー世代の方は念のため、ご旅行には持参することをお勧めします。

>靴下によるエコノミークラス症候群予防について詳しくはこちら<

 

4-3, 医療機関へ相談

最後に、長期の旅行の前など、事前に医療機関に相談しておくこともお勧めです。
ここで重要な点としては、必ず「静脈の専門病院」へ相談をすることです。

状況を伝えた上で、上記に紹介したような弾性ストッキングなどのグッズや薬での対処法を適切に指示して貰っておけば、いざという時にも安心ですね。

 

5, まとめ

いかがでしたでしょうか。
エコノミークラス症候群は「いつもより少し気をつけて生活するだけで防げる病気です。

皆さんも少しのストレッチや、弾性ソックスの着用から、エコノミークラス症候群予防を始めてみてはいかがでしょうか?

 

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