下肢静脈瘤の治療と手術方法には様々な種類があります。
今回は、従来型の治療から最先端の治療方法まで主流となっている6種類を紹介します。
目次
1, 下肢静脈瘤とは
下肢静脈瘤という病気の名前を聞いたことはありますか?
日本人の10人に1人が予備軍であるとされていて、その多くは女性だとも言われています。 多くの人に発症の可能性がある病気ですので、どんな症状が現れる病気なのか、治療が必要なのか、どんな手術方法があるのか詳しく知っておく事が大切です。
1-1, 下肢静脈瘤とはどんな病気?
下肢静脈瘤とは、足の静脈弁が機能不全になることによって、血液が滞留し、それがボコボコと血管のむくみとなって現れる病気です。 ボコボコと現れる場所は足に局所的で、むくんでいる箇所を押すとへこみ、離すとまた元に戻る事が特徴です。
どんな症例があるのかは、こちら<【症例多数】抑えるべきは4つ!下肢静脈瘤を症状別に解説!> をご覧ください。
1-2, 治療や手術の必要はあるの?
下肢静脈瘤は自然治癒しませんので、そのまま放っておくと症状は進行します。 そのままにしておけば治るというデマカセを聞くことも多いのですが、それはありえません。
徐々にでも進行はしていきますし、最悪の場合は死に至るケースもある病気ですので必ず医療機関での受診をしてください。
放置のリスクに関しては<下肢静脈瘤は病気です!治療の必要性と放置のリスクについて>こちらをご覧ください。
2, 6通りの治療/手術方法
下肢静脈瘤の治療方法はどんどん進化しています。
今回は従来型の治療方法から最先端のものまで大きく6通りに分けて解説をしていきます。
2-1, 硬化療法
硬化療法は、下肢静脈痛のうち、クモの巣状静脈痛、網目状静脈描の治療として現在も行われています。 血液の逆流が生じてふくらんでいる静脈内に、硬化作用のある薬を注射器で注入して圧迫し、 血液が流れないように血管を閉じて固めてしまう治療方法です。 外来で受けることのできる簡単な治療法(保険適用)ですが、これまでの硬化療法にはいくつかの欠点がありました。
■治療中や治療後に痛みがある
■治療後の皮膚に変色が起こる
■ー回の治療で処置できる範囲が限られるため、広範囲に血管がふくらんでいる場合は何度も通院しなければならない
■再発の可能性が高い
硬化療法は、症状が軽い下肢静脈癌には有効な治療法ですが、このような欠点を持つことから敬遠する方も少なくありませんでした。
2-2, 高位結紮術
大伏在静脈癌や小伏在静脈癌に対して行われる手術です。
大伏在静脈痛では、足のつけ根(そけい部)を切開し、大伏在静脈を引き出して糸で縛り(「結紮(けっさつ)」と言います)、深部静脈から大伏在静脈に血液が流れこまないようにします。 小伏在静脈痛では、膝の裏側を切開し、小伏在静脈と深部静脈の合流部分を結紮する手術をします。 ところが、大伏在静脈や小伏在静脈は何力所もの交通枝で深部静脈と通じています。 そのために交通枝からの逆流が起こり、再発することが少なくありません。
2-3, 瘤切除術
静脈のコブ状になっている部分を切り取る手術です。 小さな穴をあけ、特殊な器具でコブ状になっている血管を引き出して切除します。 医療機関によって傷跡の大きさは異なりますので、事前に確認するとよいでしょう。硬化療法と併用したり、他の手術方法で残ってしまった静脈痛を取るために行われていますが、 揃切除術だけでは根本の静脈を治療していないので、やはりすぐに再発する可能性があります。
2-4, ストリッピング手術(静脈抜去術)
「ストリッピング」とは、「はがす」という意味です。 言葉のとおり、大伏在静脈や小伏在静脈を組織からはがして抜き取ってしまう手術で、保険が適用されます。 手術方法は、大伏在静脈癌の場合は足のつけ根とひざの2カ所を切開し、血管を引き出して血流を止めた後、血管内に細長い針金状の金具(ストリッパー) を挿入して固定し、 血管を引き抜きます。 100年以上前から行われてきた手術ではあるのですが、どうしても体への負担が大きくなります。 一般的に、全身麻酔か下半身麻酔が必要です。 手術後、歩行できるようになるまで時間がかかるため、最低でも1週間の入院が必要とされてきました。
2-5, 血管内レーザー治療
上記のストリッピング手術が主流になってはいましたが、やはり術後の後遺症などに悩まれる方が多いため、欧米で開発されたのが、「血管内レーザー治療」です。 血管内レーザー治療では、逆流防止弁が壊れて血液が逆流している静脈の血管内に、細いファイバーを挿入します。そのファイバーからレーザーを照射して、血管の内側から治療するのです。 最初に使われたレーザーは、半導体レーザーです。 高温の熱を発する特性を持ち、医療の場ではとくに外科手術に早くから応用されてきました。 この半導体レーザーには問題がありました。下肢静脈癌の治療に使うと高温によって血管に穴があき、治療後には広範囲の皮下出血や炎症が起こって強い痛みが発生するという報告があります。 また、痛みのために数日間は動けないことが多く、これでは従来のストリッピング手術とあまり変わりがありません。
2-5-1, 最新のレーザー治療
米国では下肢静脈瘤の治療の95%がレーザー治療で行われています。そんな最先端の国の中でも、 米国のアラバマベインセンターが世界一の実績を誇っているのですが、そこで使用されている「クールタッチCTEV NEXT治療」が日本の東京血管外科に導入されました。 ・痛みが少ない ・安全 ・治療後の足が綺麗 ・手術時間が短い といったメリットをたくさん抱えており、従来の血管内レーザー治療のデメリットを解決した治療方法になっています。
2-6, 最先端!スーパーグルー治療!
デメリットを払拭した最新のレーザー治療のさらに上をいく治療方法が「スーパーグルー治療」です。 治療において、血管が傷つくことや、熱を使うことが後遺症の原因となっていましたが、この治療は接着剤を血管に流し込み塞いでしまうという方法のため、 後遺症が圧倒的に少ないのです。また治療時間も手術自体は数十秒で終わるという、患者さんにとって、非常にメリットのある治療方法であることは間違いありません。 スーパーグルー治療について詳しく知りたい方はこちらの2本の記事をあわせてお読みください。
3, まとめ
今回は下肢静脈瘤の治療方法と手術方法についてまとめました。 いろいろな治療があり、それぞれにメリットとデメリットがありますので、専門医に相談をし ご自身にあったものを選んでくださいね。